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“風しんゼロ”プロジェクト

2017年に公益社団法人 日本産婦人科医会が、
厚生労働省をはじめ、
行政、各種団体らと
立ち上げたプロジェクト。
先天性風しん症候群児の出生をゼロにし、
風しんの完全抑制を目標としている。

風しんとは?

急性の風しんウイルスによっておこる急性の発しん性感染症です。
症状は不顕性感染(感染症状を示さない)から、重篤な合併症併発まで幅広く、特に成人で発症した場合、
高熱や発しんが長く続いたり、関節痛を認めるなど、小児より重症化することがあります。
風しんに対する免疫が不十分な妊娠20週頃までの妊婦が風しんウイルスに感染すると、
先天性風しん症候群(CRS)の子どもが生まれてくる可能性が高くなります(母親が感染した妊娠月別の
先天性風しん症候群の発生頻度は妊娠1ヶ月で50%以上、妊娠2ヶ月で35%などとされています)。

2018年10月にアメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、風しんにかかったことがなく、
風しんワクチンも打っていない妊婦は日本に渡航しないよう勧告を出しています。
(警戒レベルは2で、これは同時期に出されたコンゴのエボラ出血熱、ナイジェリア・シリアのポリオと同レベル)。

先天性風しん症候群の発生頻度

先天性風しん症候群(CRS)とは?

母親が妊娠中に風しんウイルスに感染することによって生じる胎児の病気。
妊娠初期に母親が感染することによって起こり、母親に症状がみられない不顕性感染の場合でも、
先天性風しん症候群を起こす可能性があります。
先天性風しん症候群の3大症状は難聴、白内障、先天性心疾患。その他、網膜症、肝脾腫、血小板減少、
糖尿病、発育遅滞、精神発達遅滞、小眼球など多岐にわたります。

2012~2013年に、30~40代の男性を中心に全国で風しんが大規模発生し(2013年の患者数14,344人)、
2013年だけで32人の先天性風しん症候群の児が生まれています(発生率0.0031%)。
2018年〜2019年の風しん感染増を受けて、2019年〜2020年(1月27日現在)には
5人の先天性風しん症候群の患者が生まれています。
(発生率0.00058% ※2019年の人口動態統計速報値の86万4000人で計算)。
報告されている先天性風しん症候群を発症した赤ちゃん以外にも、妊娠初期の妊婦が風しんにかかったと
わかると、苦渋の選択の後に人工妊娠中絶を選択された方もおります。
また心臓の異常など様々な異常をもって生まれた新生児の中には、先天性風しん症候群と
確定できないこともあるため、被害の実数は掴みきれないのが現状です。

先天性風しん症候群の3大症状

風しんに罹患しやすい世代

昭和37(1962)年4月2日~昭和54(1979)年4月1日生まれの男性(2020年1月末時点で40歳〜57歳)。
約1530万人のうち21.45%にあたる約328万人が抗体不足とされています。

現在、国の予防接種法で子どもの風しんの予防接種は定期接種となっていますが、この制度が始まる前は、
年代によって接種の方法が異なっており、“ワクチン空白世代”が存在します。
特に、昭和54(1979)年4月1日以前に生まれた男性は、子どもの頃に風しんのワクチンを接種する機会が
なかったため、全ての世代を通じてもっとも抗体が不足しています。

先天性風しん症候群の3大症状

アナタが風しんウイルスをばら撒いている?

風しんへの免疫がない集団において、1人の風しん患者から6~7人にうつす強い感染力がある
されています。風しんウイルスの感染経路は、飛沫感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播。
潜伏期間は約2~3週間で、発症する前後約1週間はヒトに感染させる可能性があります。
風しんの抗体が不十分な、昭和37(1962)年4月2日~昭和54(1979)年4月1日生まれの男性は、
いわゆる働き盛り。もし風しんウイルスに感染しても、休むことなく仕事をする、なんて人もいるようです。
また症状が現れない無症状のケースも15%〜30%あるため、知らず知らずのうちにウイルスを
拡散してしまうことも。満員電車、オフィス、ランチ時の定食屋にアフター5の居酒屋…あらゆる場所で
悪気もなくウイルスを撒き散らしているかもしれません。
そんななかに、もし妊娠初期の妊婦さんがいたらどうでしょうか? 抗体を十分持たないまま社会生活を
送ることは、胎児に先天性風しん症候群を発症させるリスクをはらんでいるということでもあるのです。