2020/04/02
ケトル的【宅活】のススメ (vol.1 マンガ)
ケトルキッチン編集部

新型コロナウイルスの影響で、#おうち時間 の充実が急がれる昨今。
こんなときこそ、今まで観たかった・読みたかった・聴きたかった
あの作品たちを、思う存分消化する時間にしませんか?
ってことで、これから定期的に博報堂ケトルの「宅活の達人」たちが、
映画や本、漫画、音楽など、それぞれのオススメのコンテンツを紹介していきます。
それではみなさん、お身体にだけは気をつけて、充実した宅活を!
第一回目のテーマは「マンガ」
マンガ愛に溢れるケトラーが、今読むべき珠玉のマンガを選出しました。
テレワークで通勤時間がなくなった余白の時間に、飲み会がなくなった夜の時間に、マンガで心豊かな時間を過ごしてみては?
『エリア51』 選者/清水佑介
先日発表された文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で『ロボ・サピエンス前史』が大賞を受賞しました。
https://j-mediaarts.jp/award/manga/
『ロボ・サピエンス前史』は練り込まれまくったストーリーも文句なしに素晴らしいですが、作画も素晴らしい。コントラストが効いたあの作画に僕はガッツリやられました。そんなバキバキコントラスト作画好きに贈るおすすめ作品が、この『エリア51』です。
ジャンルは、異形ファンタジーハードボイルドとでもいいますか、日本らしい節操のないごった煮な設定になっています。世界中の神様、妖怪、怪人、怪物などが世間から隔離されたノーマンズ・ランド、アメリカの”エリア51”で愛用のコルトM1911を片手に探偵業を営む“人間”真鯉徳子(通称マッコイ)が主人公。神様や妖怪たちが引き起こすさまざまなゴタゴタを相棒の河童のキシローと解決する日々。しかし、彼女には秘密があって……というお話ですが、
まぁとにかくamazonで表紙を見てください。めちゃくちゃかっこいい。そして本編の作画。超かっこいい。悶絶するほどかっこいい。なにそのコマ割り、なにそのアングル、なんなのその見開きは!!あぁ、かっこいいい。。。
昨今kindleでマンガを買われる方も多いかと思います。僕もそうです。が、ぜひコミックスで揃えてほしい。表紙の質感、デザイン、見開きの迫力、間違いなく書棚を15冊分専有するに値する作品です。
肝心のストーリーは……最終15巻、最後の1ページにしびれること間違いなし。いろいろな難題にぶち当たる今こそ、「かっこいい生き方」にどっぷりハマってみてはいかがでしょうか。
『ジョジョの奇妙な冒険 part5 黄金の風』 選者/永井貴浩
僕のオススメする漫画はみなさんご存知のジョジョの第5部です。もうすでに知っている人も多いなか、そこをあえて強行突破する意味があると思い、選ばせていただきました。
「いまさら?」という言葉が出てきそうですが、そんなヘイトな意見がでてくる覚悟はできているのか?
俺はできている。
ジョジョといえばスタンド能力を使って、悪の集団と戦う漫画だと思っていませんか?違うんです。
ジョジョ全体の大きなテーマは「人間賛歌」。主人公や仲間が大きな困難を知恵と勇気と仲間とともに自分たちの力で乗り越えていく話です。
第5部は、目的に対して時には心を鬼にできる強い意志をもった主人公と仲間の話です。
目的遂行のための意志を持った行動が、こんなにも美しいものかと、生き様やセリフがかっこよすぎてしびれます。
しかもギャングといった悪の方を描いているのも最高です。
5部だけならそこで完結してますし、完数もそこまで多くないので読みやすいかと。
こんな時期だからこそ、意志を持った行動を。と思い推薦いたします。なんなら貸します。
『ボボボーボ・ボーボボ』 選者/笹原与法立
漫画にはジャンルが様々あって、どれも同じテンションで読めるものではないと思います。
キュンとしたい・熱くなりたい・癒されたい・学びたい…etc
今回自分が紹介するのは、こんな時だからこそ、頭が小休止できる作品です。
この漫画は、ただただ無茶苦茶で、意味不明で、ハジけてて、次のページに何が起こるか予想できる訳がない、破天荒ギャグ漫画です。
こういうフリだから、こういうオチ。なんて完全無視で斜め上からのギャグを、1話分にこれでもかと詰め込んできます。ナイツ・塙さんがM-1の歴史の中で「4分の間にいかにボケ数を詰め込むか」と話されてたがごとく、押し寄せてきます。
ただ、意外な所での伏線回収やバトル漫画としての熱さを混ぜてくるのも含めて、気持ちがイイ笑いと読後感のまま、突っ走ってくれると思います。注意したいのは、理性的に読み込むのではなく、あえて思考せずに身をまかせることが大事になってきます。
この漫画は、ご存知の方もいるかと思いますし、絵柄やノリが難しいといった好みも別れやすいと思います。その中で、一度騙されたと思って、漫画の楽しみ方の1つとして、飛び込んで頂けると幸いです。
騙された場合、、、申し訳ございません。
先々を考えなければならないことが発生しうる環境下において、ちょっとした息抜きになれば幸いです。
『はぐちさん』 選者/山内遥
のっけからすいません。
今回、オススメさせていただく『はぐちさん』は企画の趣旨と少しずれているかもしれません。
でももう少しだけ読んでくれますか?
これから来るかもしれない、もしかしたら今感じているかもしれない、「温かくて優しいおでんを食べると“泣けてくる時”」のために覚えていてほしいんです。
読み進めてくれた、今あなたのことを考えています。
仕事や子育て、人間関係、はたまたこれからの未来への不安、様々なことで悩みがあるのでしょうか…。
でもきっと、あなたは「偉い!」し、「がんばって生きています」。そして、あなたは「一番幸せな未来を考えてこ!!」ができる。
前置きが長くなりましたが、「」内のセリフはすべて、今回オススメする漫画『はぐちさん』(※4コマ漫画です)から切り取ったものです。
はぐちさんは、白い球体の不思議な生き物。ひょんなことからちょっとお疲れ気味のOL・八千代(やちよ)の家に居候します。日常生活を通して擦り切れまくる八千代をはぐちさんは、私たちとは違う価値観で励まし、癒します(この違う価値観が非常に重要)。
私の一番好きなセリフは(疲れて温かいおでんを食べながら泣く八千代に)、
「おいしかったら笑うんとちゃうん」、「外では悲しい時笑ってるんよ」でしょうか。
もしかしたら、はぐちさんは社会の擦り切れで無くしてしまった自分を肯定するための私たちの一部なのかも。
是非、あなたの心が疲れてしまった時、励ましと癒しの1冊に心にとめておいてください。
PS・私は発奮したい時、泣きたい時、キュンキュンしたい時などなどいろいろな感情にあわせた“漫画処方”が得意なので、何か“こんなの”っていうのが欲しいときは良かったら声かけてください!
『ダルちゃん』 選者/小野寺正人
映画や他のコンテンツには無い漫画の良いところって何でしょう。僕はそれを「瞬間風速」だと思っています。読み始めて一瞬にして心が洗われたり、不意に嗚咽できたり、瞬間懐かしい記憶が蘇ったり…読んでると心に風がすーっと通っていくから漫画は止められない止まらないと思うのです。そして最近一番「うわ!瞬間風速!強い!!!」と感じたのがはるな檸檬さんの『ダルちゃん』です。
もともと資生堂さんのカルチャーサイト「ウェブ花椿」で連載されていた作品で、僕は単行本化されてから読んだのですが、最初読んだとき(@会社に向かう千代田線の中)、あまりの瞬間風速の強さに嗚咽が止まらなくなって途中下車しました(@乃木坂駅)。主人公の24歳の派遣OL丸山成美は、家ではポヨポヨの「ダルダル星人」のダルちゃん。人間に擬態して毎日普通に会社に出勤しているダルちゃんが、色々な人間との出会いを通して、自分の本当の気持ちに気づいていく…というお話です。ダルちゃん、名前はかわいいですが、めちゃめちゃカッコいいんです本当に。
この作品のテーマは「”普通”とは何か」だと思っていて、僕は4月で社会人6年目に突入したのですが、「普通」ってものすごい難しいよなぁ…と日々感じています。いつかダルちゃんのように自分にとっての「普通」を自信を持って見つけられるようになりたい!と思いながら、今日も家で漫画の風を浴びています…

