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連載 : 徒然、原カントくん

2025/09/25

徒然、原カントくん 2025.07.01~08.31

原利彦

7月1日(火)

7月突入!と、言いつつ暑すぎるだろ、これ。

BS12の収録のために神宮前へ向かうが、途中、歩道から蜃気楼が見えた気がした。

そして、『BOOKSTAND.TV』でM-1ファイナリストのママタルトさんとご一緒。

 

しかし、この写真、パースがおかしなことになってないか?

 

ママタルトの大鶴肥満さんから、「まーごめ」の詳細な説明を伺うことができましたよ。

詳しくはこちらから!

7月2日(水)

夜をもてあましすぎて一人、自転車をこいで代々木公園ナイトマーケットに来てしまった。

ナイトクルージング。

夜の公園のベンチで、ゲッツ板谷さんのエッセイ『妄想シャーマンタンク』を読んでたら、若いおにいちゃんから「21時で終わりですよ」と言われて、さみしく帰宅。公園にすら居場所がないのか。

7月4日(金)

起きるなり、田原総一朗風ポーチドエッグを作って食す。

ちなみに、作り方は以下の動画にあるからおいておきます。なんだか癖になる動画なんだよなー。

そして、赤坂TBSラジオへ出社。

平塚美術館で開催中の「原良介 サギ子とフナ子 光のそばで」をTBSラジオで紹介する。

この原良介さんの絵は、絵具の使い方が面白いのだ。

普通、油絵の画家は、絵の具を重ねて彫刻的に描いていくことが多いのだが、この人の油絵は、絵の具を重ねない。一層のみ。まるで水彩画のようにするするっと描く。

結果、キャンパスの素材をいかした、とても瑞々しい、さわやかな仕上がりになっていて、夏の始まりにぴったり。

番組が終わると、博報堂の営業さんから電話の着信があったので折り返したところ、思いの外、長電話になってしまい、次の生放送に遅れそうになった。

あわてて渋谷のラジオに移動して、一般社団法人日本ウッドデザイン協会常任理事の高橋義則さんと一緒する。

木はやっぱりいいよね。人は海からじゃなくて森から生まれてきたのかもしれん。

そして、僕が紙の本を好きなのは、本が木からできているからかもしれん。

その後、僕にとっての夏の定番、博多天神の冷やし中華と瓶ビール(小瓶)を決めて帰社。

7月5日(土)

今日は休日。だが、やることがない。50男の休日は、大学生より暇だ。

仕方ないので、ほてほてと本屋B&Bにむかう。

ボーナストラック全体をつかって『講談社 ノンフィクション祭り』をやっていたよ。

本屋B&Bも、便乗してノンフィクションフェアを開催中。

最近、紙の本を読む時間が増えた。特に文庫本。

本はいいな。どこにでも持ち運べるし、手触りもかわいいし、好きなときに、自分のペースで読めるのが、良い。静かだし。

って、今更こんなことを感じているのか、俺は。

7月10日(木)

朝、テレビを観ていたら、コメ不足の影響を受けて、素麺がいまスーパーから消えているそーな。

消えているとなると欲しくなるのが人情。

早速、近所のコンビ二で素麺と素麺つゆを飼ってきて食べる。

素麺ってこんなに美味しかったのか。子どものころなんて、まったく食べる気しなかったもんな。

でも、素麺のつゆの裏面をみたら「冷蔵庫に保管して、3日以内に使い終わってください」と書いてあった。この500mlを3日で使い切れる人が存在するのか!?

そんなことを考えているうちに、小林邦宏さんとやっているPodcast『たびかるジャンクション』、最新回が配信。

地味に人気だそうな。

7月11日(金)

おはようございます。

眠い目をこすりつつ、TBSラジオを聞きながら赤坂に出頭し、そのままTBSラジオに出演する。

TBSラジオ『金曜ボイスログ』で、永青文庫で開催中の『書斎を彩る名品たち―文房四宝の美―』を紹介。

永青文庫は、熊本の御殿様、細川家に伝わるお宝を展示している美術館、というか、この美術館自体が、細川護立の邸宅。

特に東洋美術が有名で、刀剣ブームの火付け役といっても過言ではない美術館だが、今回紹介するのは剣じゃなくてペン。つまり昔の文房具です。

しかしこの細川護立、高校生の時に国宝の刀をゲットしていた、というから凄まじい。どうやったら高校生がそんなもの買えるのかと思って調べたら、お母様にお小遣いを前借りして買ったそうな。彼のお母様も、佐賀の鍋島家の娘様。エスタブリッシュにも程がある。

その後、クライアントとリモート打ち合わせをしたのち、怒涛の勢いで机の上の書類にハンコを押して、即、渋谷のラジオに移動。

岩波新書編集長の中山永基さんがゲストに来てくださったぞ。

あの出版業界の人なら誰もがひれ伏す”岩波”の編集長です。

お逢いするから緊張していたら、めちゃくちゃ柔らかい方で良かった!

ちなみに、岩波新書の史上ナンバーワンヒットは、永六輔の『大往生』だそうです。覚えておこう!

7月12日(土)

今日も休日なのにやることがない。暇だ。

ぼんやりテレビを観ていると、千葉県の佐原市でお祭りをやっているらしい。

やることないので、千葉の佐原市まで足を伸ばして、佐原のお祭りに行ってみた。

片道約2時間かかったが、途中、電車のなかでひたすら、原寮の『私が殺した少女』を読んでいるうちに気がつけば到着。ハードボイルドの世界から、突然、縁日の世界へ。

なんかこの年になると、音楽フェスよりも地元のお祭のほうが好きになっちゃったのだ。テキ屋の屋台が出ているようなね。

今年も、イイ顔したお兄さん方がイカを焼いていたよ。

帰り、新宿のゴールデン街に久々に顔出して帰宅。

7月13日(日)

珍しく、海。圧倒的に夏。

近所のバーのマスターに誘われて、一色海岸まで行ってきた。

出し惜しみなしの夏を感じる。

海の家のBGMは、矢沢永吉の『時間よ止まれ』。最高。

7月15日(火)

昼にTBSラジオを聴いていたら、町山智浩さんが映画『スーパーマン』を紹介していたのだが、毎度のことながら、町山さんの解説が素晴らしすぎる。

町山智浩さんの唯一の欠点は、たまに、映画本編よりも彼の解説のほうが面白いという点だが、今回はどうだろう?

確かめに、そのまま新宿に『スーパーマン』を観に行く。

いやー良かった。痺れたなー。面白かった!

今のこんな世の中、優しくあり続けることこそが、最も過激でカッコいいアティチュードなんだよな、ってことを伝える映画だった。

しかし、隣でやっていた『国宝』という映画の客入り、凄まじいことになっとるな。

帰り、アルタ前の博多天神の冷やし中華と瓶ビールのセットを決めて帰宅。

7月18日(金)

TBSラジオで『深宇宙展』を紹介。

人類が、もっとも最近月にいったのがいつかというと、1972年。

つまり50年以上前のアポロ計画以来誰も月にいってない。

なぜ誰も行ってないか、というとシンプルに「割に合わないから」。

人を月に送り込むと、めちゃくちゃお金やリソースがかかる、と。

そして、いまや人が実際にいかなくても色んな情報がわかる、っていうことで、誰も行ってなかったのだが、やっぱりその合理性を超えてくるのがトランプさん。

アメリカのトランプ大統領が2019年に「我々は再び、月に人類を送り込む!」と宣言して発表されたのが、アルテミス計画。

しかし、その計画はズレズレ。当初2025年に月に行く予定は、打ち上げ失敗などもあり、今は2027年の予定になっている。でも今現在、トランプとイーロン・マスクが喧嘩しているからそれすら怪しいな。

TBSラジオの生放送のあと、「何かおもしろいことないかなー」と思いながら、ビズタワーを徘徊してみたけど、特に何もなし。むしろ、厄介なことを相談されてしまった。

潔く、渋谷のラジオに向かう。

昼は、大好きなゲッツ板谷さんが渋谷のラジオに来てくれたぞ!

今日は以前から、楽しみだったのだ。

板谷さんのトークも最高だけど、ゲッツ板谷さんの初期エッセイ集『情熱チャンジャリータ』『直感サバンナ』『戦力外ポーク』はどれも名作なのだ、本当に。

部屋に帰って、彼の最新作『ともだち』を読み返す。

7月19日(土)

そして翌日、僕が敬愛する水道橋博士の言葉「出逢いに照れるな!」を抱きしめつつ、勇気を振り絞って、ゲッツ板谷さんがいきつけの埼玉『串カツまるや』へ行ってきた。

僕は会えなかったんだけど、ゲッツ板谷さんは僕が帰ったあととほぼ入れ違いで、よしもとばななさんと『まるや』に来たらしい!

ばななさんが、あの串カツ屋に来たとは・・・。

最期、看板息子のアキトさんとパチリ。

20代前半にしてこの風格、末恐ろしい。

7月20日(日)

部屋で朝から、ビール飲みながら、ボクシングのパッキャオVSバリオス戦を観る。

圧倒的不利と言われていたパッキャオ(46歳)が、現役チャンピオンのバリオス(30歳)とドローだよ・・・おい。

ほぼリアル版『ロッキー・ザ・ファイナル』だった・・・って、俺のまわりでこの感動を分かち合える人はゼロ。さらにビール飲んで、ふて寝する。

7月23日(水)

今日は、参院選の日。

午前中から、近所の小学校へ投票に向かう。

しかし、5年前にBS番組で一緒したこの二人が、後に二人とも政治家になっちゃうとは露にも思わなかったなー。

ちなみに、僕が投票した人は例によって落ちました。

7月25日(金)

7月も終盤戦。時がすぎるのが早すぎるだろ。

今年は戦後80周年。ということで、『金曜ボイスログ』で、国立公文書館で開催中の『終戦』展を紹介してきた。

展示されているのは、基本的に紙だけなんだが、紙とは思えない重たい展示だった。

「終戦の詔書」が展示されていた。

つまり昭和天皇が1945年8月15日の玉音放送で、ラジオで読み上げた文章。この成り立ちが凄まじかった。

日本の官僚の優秀さ、底力を感じさせるエピソード。

なんせ、日本が最終的に降伏を決めたのは、8月14日午後12時ころに、最後は天皇自らの決断によって決めた、というのは有名な話。

そこで「はー終わった・・・」じゃないんですよ。

そこから、極限状態のなか、官僚たちは翌日15日に、天皇がラジオで読み上げる玉音放送の原稿を書かなければならない。

これを官僚中心にまとめていくのだが、もう書き直す時間なんてないから、直接、天皇が鉛筆で上書きもしている。

そうして6時間くらいでかきあげたこの詔書の文章がまた、日本の「国体護持」のニュアンスを残しつつ、連合国に降伏を表明する絶妙な文面なんだわ。

圧巻です。

そんなことを、一人ラジオで力説したのち、すぐに渋谷のラジオに移動。

ゲストは「エレキコミックのエレマガ」映像でもおなじみ、映像プロデューサーの菊池謙太郎さんが来てくれたぞ!

彼が手掛けた新刊「ライフヒストリーミックステープ.02」について伺いました。

ここには映ってないけど、隣には菊池さんの小学校の娘さんも夏休みで見学にこられていて、スタジオで緊張しつつも可愛かったなー。

俺のことを、大人になっても覚えていてくれるといいな。

7月26日(土)

朝起きて、ふらりと川越の灯篭祭りを観に行くことを決意。(どんだけ暇なんだ俺は。)

駅を出たとたん、舐達磨みたいなタトゥー入った集団と複数すれ違って「ここに北関東のヤンキーたち全員が集結しているのでは・・・」と思うほどの熱量だったのだが、やはり蔵町にいくと風情がバッチリ。

これですよ、夏祭りは。

灯篭も美しかった。

帰り、新宿の馴染のバーによって、マスターに挨拶してから帰宅。といっても、誰も挨拶を求めてないが。

8月1日(金)

気がつけばテレビで高校野球をやっている。外野手は、日傘をさしたほうがいいんじゃないか。

そんなときは、少しでも背中が涼しくなることを紹介してこようと思い、TBSラジオで「恐怖心展」を紹介してきた。

「何が人間を怖がらせるのか?」を、科学的・文化的に掘り下げている展示です。

ガラスケースに入っている、こちら先端が向かっているペン・鉛筆・針、そして、ポツンと置かれた黒電話や、汚れた畳、空っぽのベビーカーと、人の神経逆なでしてくる演出のオンパレード。

誰がこんなもんお金払って観に行くのか、と思う人もいるかもしれんが、昨今のホラーブームの影響からか、チケット取れないくらいの大人気だそーな。

そして昼は、渋谷のラジオで、株式会社EPOCHの石澤秀二郎さんとご一緒。

こないだ某パーティーで初めてお話をさせていただき「今度、お茶しましょう」ってことになったのですが、「もうなんならラジオのマイクの前で話しましょうよ!」ってことで、今回の出演に。面白かった。

夜は、ハラカドでやっていたOOAA大木さんの周年パーティーに顔を出す。しばらくお逢いすることのなかった知り合いたちとご挨拶(名前を出して良いのかどうかわからないので、出さない)。

8月5日(火)

今更になってNETFLIXの『ナルコス』を観始めて、寝不足。

シーズン6まであって、昨夜なんて夜中の3時に目がさめて、トイレにいったあとにまた観ちゃった。中南米版『仁義なき戦い』。まだまだ先は長いが、面白すぎる。

どうしてもっと早く教えてくれなかったのか。

そして、BS12『BOOKSTAND.TV』でジャーナリストの堀潤さんとご一緒。

毎度、堀潤さんにあうたびに思うが、ソツのない流れるようなコメントにはうならされる。選挙のこととか、テレビ局のこととか、他にもいろいろ伺いたかったなー。

8月8日(金)

早起きして、TBSに行ったら、なんだかイカした絵が完成しつつあるぞ。

そーか。世界陸上・・・

またしても、織田裕二の季節がやってキター!!

 

渋谷のラジオのゲストには、芸人のちびシャトルさんが来てくれたぞ。

この方、生まれた時にアレルギー数値が常人の100倍あったそうで、そこから如何にアレルギーを克服していったかをまとめているうちに、いつのまにか本まで出ちゃった方です。さすが芸人、トークも冴え渡っていました。

ちなみに、このゴーグルは、太陽アレルギーで太陽を浴びられないから仕方なくつけているうちに、自分のトレードマークになったそうな。

夕方、ふと泳ぎたくなり、ドン・キホーテで水中メガネと水着を買って、ジムのプールで100メートル泳ぐ。

体よりも心がスッキリした気がするぞ。

8月10日(日)

BS12『BOOKSTAND.TV』に、昔からのお友達でもある作家の木爾チレンさんがゲストとして来てくれた。

昔、僕が旅行で不在のときに、かつて自分ちで飼っていた猫の世話をお願いしたことまであるのだ。

が、その後、

彼女は今年、突然の大ブレイクを果たし、新刊『二人一組になってください』は、10万部超えのベストセラー作家に。えらいことだ。久しぶりに逢えて、嬉しかった。

 

夜、「なにか面白いこと落ちてないかなー」と、新宿の飲み屋やバーを徘徊してみたのだが、結局、予想どおり何も落ちてなかった。酔っぱらいが叫んでいただけだった。

お盆休みなのか、街が普段より閑散としていた気がする。

同年代の家庭持ちのみんなは、里帰りやレジャーで、海に行ったり山に行ったりプールにいったり、家族とスイカ食べたり、奥さんとフェスに行ったり、子どもと抱き合ってゴロゴロしたり楽しいことしているんだろうなー。

 

仕方がないので、独身50歳の自分は、部屋で膝をかかえながら、NETFLIX『ナルコス』を観て、麻薬カルテルの抗争を追いかけている。

人がドンドン死んでいくよ。

8月14日(木)

暇だ。

平日なのに、今日、打ち合わせがほとんど入ってない。

「これは・・・。もしや会社で干されているのじゃなかろーか、俺は」

うっかり、そんなことに気づきつつ、仕事サボってバイクで横須賀まできてしまった。

横須賀の道端で缶コーヒーを飲んで、帰宅。

「本日、東京で非生産的な一日過ごした人ランキング」トップランカーになれる自信あるよ、ぼく。

8月15日(金)

今日も今日とて、暇だ。絶望的に。

打ち合わせどころか、メールも、ちょぼちょぼしか来ない。

「これは、確実に、会社から、社会から、干されている」と確信。

朝起きる気もしないが、とりあえず、いかないと怒られるので、TBSラジオに行って、角川武蔵野ミュージアムで開催中の「昭和100年展」を紹介してくる。

ダメだ・・・まったくやる気が出ない。

地上波ラジオの生放送で、こんなに無気力な気分で喋っていて大丈夫なのか、というか、放送事故がおきないのか、そもそも、クビにならないのだろうか。そもそも、僕なんかの出演を聴いてくれている人がいるのか・・・。

 

instagramを開くと、タイムラインには幕張のSUMMER SONICに行っている連中からの迷惑な幸せフォトの連続で、思わずスマホを頭突きで叩き割りそうになる。

なんだろう・・・この焦燥感と虚無感。

もう素麺すら食べる元気がわかない、ということで、コーラだけ飲み干して

渋谷のラジオへ移動。

 

気を取り直そう。

「それはあれだ!夏のせい」にしよう。

ゲストに来たのが、これまた10年来の友人である漫画家の白戸ミフルさん。

以前から漫画で活躍していたのは知っていたのだが、なんとNETFLIXの恋愛リアリティ番組に出演して、いつのまにか時の人になっておった。

「具体的な番組名はNETFLIXの規定で言えない」とのことで、「それで1時間の生放送をクリアするの無茶だろ!」と思っていたら、案外、彼女と久しぶりに雑談してるだけで楽しかった。

先日の木爾チレンさんといい、僕の昔からの知り合いがどんどん有名になっていくなー。

帰り道、とくに意味なくコンビニで缶ビール買って飲みながら歩いて帰宅。

夏の夕暮れは好きだ。

8月21日(木)

今月末に、本屋B&Bにて、コナリミサトさんの漫画『凪のお暇』にでてくるスナック「バブル」が一日限りの復活を遂げることを記念して、本屋B&Bでコナリミサトフェアを開催中。

当日は、ドラマに出演された武田真治さんと、中田クルミさんも来るぞ。

お。なんだか少しずつ、忙しくなってきた。

 

そういや、素麺のつゆ、あれからいっかいも使ってないや。捨てなきゃ。

8月22日(金)

朝、TBSラジオで「戦後80年―戦争とハンセン病」を紹介してくる。

僕も知らないことばかりの展示だったが、この展示にでてきた、立花誠一郎さんという男性の人生が凄まじい。

この方、「差別」と「戦争」という、一人の人間としてこれ以上の苦難を耐えられるだろうか、という状況を生き抜いた方なのだ。

若い頃、太平洋戦争期に陸軍に入隊し、ニューギニア戦線に派遣。このニューギニア戦線自体がもう、むちゃくちゃな現場で、日本軍が兵站というものをほぼ無視した状況でジャングルに突入し日本兵の死因の多くは戦闘よりも、ほとんどが栄養失調と餓死。日本兵の9割が亡くなった、という戦場ですが、立花さんはその地獄を生き抜く。

結果、オーストラリア軍の捕虜になり捕虜収容所でに入るわけだが、彼はそこでハンセン病を発病。で、立花さんはハンセン病患者になったあと、その収容所で隔離をされます。差別されます。それも、敵であるオーストラリア兵に差別されるのではなく、仲間であるはずの日本兵に差別される。もうね、ただでさえ隔離されている収容所のなかで隔離されるというね。

そして、戦争が終わって、日本に帰ってくるのだが、その帰国船のなかでも倉庫に閉じ込められて帰ってきたそうな。荷物と同じ扱い。帰ってきたら、自宅には国から死亡通知が届いていたとのこと。

日本に帰ってきたとはいえ、まだ日本が強制隔離政策をとっているから、岡山県のハンセン病療養所に送られる。その後、彼は本名を隠して暮らしていたそうなんですが、晩年になって突如、彼は自分の体験を語り始めるのだ。

立花さんが91歳のときに、聞き書きの本になるのですが、『われ、決起せず』という本を出版し、96歳でなくなるまで、「戦争の悲惨」さ、「差別の理不尽さ」を訴えられたという。

こんなタフガイをなぜこの年まで知らずに生きてきたのか、俺は。

 

そして、夜は、芋煮ロックフェス主催の國井さんが手がけるプレイベントに来てみた。

8月25日(月)

今夜は、奥渋にあるPique’というバーで、作家の鈴木涼美さんと一日店長をしたのだ。

一日店長、って言ったって自分がお酒をつくれるわけじゃないから、ただ息吸っているだけの店番。

でも後輩たちや、本屋B&Bの読書会の仲間たちも大勢来てくださって楽しかったな。

しかし、やりきってみて、やはりバーで飲むのと、働くのでは大きな違いがあることがわかった。

お客様からのご馳走やシャンパンをいただきつつ、各方面に目をくばりつつ、ラジオのMCさながら話を転がしていくっていう、世の中のバーテンのみなさま全員にスタンディングオベーションを送りたい。が、もう今夜は立てない。

部屋帰ったら、ほぼ朝ですよ。前のめりにスライディング就寝。

8月26日(火)

翌日当然、二日酔いのまま絶叫とともに起床。

午前中からラジオNIKKEIの収録があるので虎ノ門にいかなくては。シャワーをあび、コーラを一気飲みして、自分を奮い立たせる。

今日のゲストは田中渓さん。

かつて、ゴールドマン・サックスに17年勤務し、宇宙レベルのお金持ちたちと交流してきた投資家。

若干昨日の酒も残りつつ、彼について予習するのだが、とんでもない方だぞ、この方。

とりあえず、以下の動画をみてほしい。

「365日、どんなことがあっても、朝3:45起床。その後、25kmランか、70km自転車か、9km水泳している」そうです。

3:45なんて、昨日まだ飲んでたよ。超人、いや億を超える兆人だわ、このひと。

そして、緊張感ビシバシのまま、スタジオに田中さんを迎え入れると、なんて爽やかで腰の低い方なのか。

その経験から生まれた「兆人マインド」を、ラジオNIKKEIBIZ&TECH TERMINAL』で惜しげもなく披露してくださいました。

しかし我ながら、この日記を書きつつ、現場の情緒の振れ幅が凄まじいな。

8月29日(金)

渋谷のラジオに、ケトル同僚の吉岡俊介くんの紹介で『空想金融教室』の著者・柳田理科雄さん、みずほ銀行・山浦康二さんが来てくださった。

クライアントと同僚と、ラジオの生放送でご一緒できるなんて、素敵な夏の思い出。

8月30日(土)

ひょんなことから、9月28日に神奈川県三崎港行われる、音楽と芋煮の奇祭『芋煮ロックフェスティバル』の前夜祭に登場することになっちゃった。

もう三崎港の旅館に前泊するわ、ぼく。

おし!9月もいろいろ面白いイベントがありそうだ。

なんとか、頑張ってもう少し生き抜くぞ。

(了)

 

原利彦
1975年香川県生まれ。1998年博報堂入社。営業職、媒体職を渡り歩き、出版社・ゲーム会社といったエンタテイメント業界を営業として担当。同時にさまざまな博報堂のコンテンツビジネスにも参画。2009年から博報堂ケトル参加。広告会社の営業をバックボーンとしたビジネス構築力と、メディアスキル、そして精神的タフさを武器に、企画から、ビジネスとしての着地までの責任を持ったコンテンツプロデュースが得意。
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