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連載 : プロデューサー道

2020/08/28

奈良県天川村大峯山で修験道体験をした話

日野昌暢

博報堂ケトルのプロデューサーである、ローカルおじさんこと日野昌暢の日々を綴る連載「プロデューサー道」の第9回です。

ありがたいことに、日本のさまざまな地域にお伺いさせていただく機会が増えています。地域それぞれの、あまり知られていない魅力に触れることも多いので、ローカルおじさんとして綴っていく回も作って行こうと思います。

大峯山山頂の大峯山寺で先達の大塚知明住職と

今年は、観光庁の「令和2年度 夜間・早朝の活用による新たな時間市場の創出事業」のコーチングメンバーも務めさせていただいています。全国から約30のさまざまな事業が採択されていますが、そのうちの一つである奈良県天川村にお伺いして、早朝の時間市場創出として手がける修験道体験にとても感動した話。

修験道(しゅげんどう)は、山へ籠もって厳しい修行を行うことにより、悟りを得ることを目的とする日本古来の山岳信仰が仏教に取り入れられた日本独特の宗教である。修験宗ともいう。修験道の実践者を修験者または山伏という。(Wikipediaより)」

天川村には平安時代頃から続く修験道の聖地 ”大峯山”(おおみねさん)があり「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産にも登録されている場所です。の”大峯山”とは、単独の峰を指す呼称ではなく、信仰および修行の場としての山々の総称なのだそうです。奈良から見ると反対にある和歌山側の”熊野古道”は特に有名で、海外からも多くの方が訪れていますが、世界遺産として認定されているエリアとしては天川村の大峯山も同じなので、こちらも貴重な地域資産として価値化していこうというチャレンジです。

今回は、平安時代から今に至るまで女人禁制とされている山上ヶ岳(1719.2m)に登らせてもらいました(女性チームは稲村ヶ岳へ)。先達と呼ばれる、山で修行の先導をしてくれるお坊さんに導かれます。早朝に麓の龍泉寺というお寺さんで滝に打たれて身を清め、修験装束を着て、途中途中の休憩所である茶屋で片道4時間弱。私語厳禁、勝手に休んだり、水飲んだり、飴舐めたり厳禁、衣装は白。要所要所で先達の「法螺貝」が山に響き渡ります。

行場「西の覗き」 そそり立つ絶壁から身をのり出し、仏の世界を覗く修行です

頂上付近には行場(ぎょうば)と呼ばれる「油こぼし」「鐘掛岩」「西の覗き」と称される鎖場の難所で”修行”。これらを終えた頃から、1300年続くと言われる山岳信仰の姿を肌で感じ始め、山頂の大峯山寺で通常は公開されない秘仏「蔵王権現尊像」にまみえた時には、信仰心が著しく低い自分史44年の歴史がひっくり返るほど、心の底より手を合わせている自分がいました。ありがたたや。。それほど秘仏はすごいオーラ。下山後は、朝に水行をした龍泉寺に戻って、お札に願いを書いて、お経を唱えていただき、お焚き上げしました。「元気なニッポンに!」と書きました。

夜がふけた洞川温泉の街並みは美しく、女子旅の映え写真撮りに来るのも悪くはないけど、行場を乗り超えてきたうえでみる街並み、温泉のありがたみは変えがたい感覚。翌朝には”ご縁がなければたどり着けない”とも言われる、天河大辯財天の神楽殿でもプロジェクトの公式参拝をさせてもらいました。
先達に導かれての修験道体験は、本当に貴重な文化だと感じましたが、街の詳しい方につながっていないと、この体験にはたどり着けないのがもったいないことだと思いました。同じ世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」として有名な熊野古道には、たくさんの体験者が訪れています。なんでもたくさん人が来ることがいいことではないですが、密かに1300年も続くこの歴史文化を、もっと知ってもらえる、感じてもらえる状況を作れるといいなと改めて感じました。

観光庁の有識者 永谷亜矢子さんと

僕は、またこの修験道に行くことになると思います。普通だとなかなかたどり着けない場所です。もしご一緒したい方がいれば是非、ご一報を! 僕は、44歳にして心より手を合わせられるようになったのがとても嬉しかったです。日本には、まだまだ知らない素晴らしいことがいっぱいあるんだなと思ったのでした。

日野昌暢
1975年福岡県福岡市生まれ。2000年 九州芸術工科大学 芸術工学府 生活環境専攻修了。同年4月に博報堂入社。14年間の営業職を経て2014年よりケトルに加入。

「預かったご予算を着実な効果にしてお戻しする」という強い想いとともに、何が社会を良くするのか?を考えるデザイン発想で、事業企画や商品開発から、PR、プロモーション、マスメディアでの広告などまで、幅広い経験を活かした統合プロデュースを手がける。

また「本質的な地域活性」をマイテーマに、“外から目線”で地域資産を再編集し、地域のプレイヤーの“関わりしろ”を作りながら、事業、プロジェクト、プロダクトを共創し、開発して、情報発信を行っていくことを得意とする通称”ローカルおじさん”。

2020年には九州を取材テリトリーにしたローカル発Webメディア Qualities(クオリティーズ)を企画プロデュースし、創刊編集長。観光庁や文化庁の採択事業者へのコーチングなども多数行っている。

主な受賞歴に、2度のACC TOKYO CREATIVE AWARD グランプリ(2018,2022)、グッドデザイン賞BEST100(2022)、Spikes Asia ゴールド(2019)、カンヌライオンズ ブロンズ(2013,2019)、ADFEST ゴールド(2019)など。
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