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連載 : きむらけんたろうの旅先で俺も考えた。

2024/12/19

第35話 台湾でユーモアについて考えた(3)

木村健太郎

台湾4Aクリエイティブアワードの審査ではくたくたになりましたが、その頑張った甲斐もあって金曜日の授賞式はディナー付きの豪華な会場で盛大に盛り上がりました。

 

 

 

僕はフィルムの受賞作品のプレゼンターをさせていただきました。

受賞した喜びでいっぱいな受賞者を次々壇上で贈賞して祝福する瞬間には、審査を頑張ってやりとげて本当に良かったと思えてきます。

 

 

 

最後にちょっと感動的なことがありました。

この台湾4A広告賞には審査員が選ぶ特別賞というのがあります。
団体や個人を称えることもあるし、作品やコンセプトなどの目に見えないモノに贈られることもあります。

前回7年前くらいに審査員をやった時には、人間の愛すべき本質をついた長尺のフィルムこそが台湾のユニークなクリエイティビティだと思い、「ヒューマニティ」に贈ったらどうだろうかと提案したら、それになってしまったことがあります。

昨年は「台湾政府」に送られたそうです。


今年は、審査最終日にみんなで議論した結果、「クリエイティブ業界を支える裏方」を称賛しようという事になり、長年台湾の広告業界に業界誌やイベント運営で多大な貢献をしてきた功労者、「ジョニー・ドアン氏」に特別賞を贈ることになりました。

前回審査したときには、審査会場にウイスキーを持ってきて、審査中の審査員に注いで回ってくれました。

業界のドンに振る舞ってもらった特別なウイスキーだから飲みたいけど、飲んだら審査が絶対眠くなるだろうな、と逡巡したあげく結局おいしくいただきました。

ジョニーさんは、そんな愉快で豪快な人です。


ところが彼は、ステージはクリエーターが上がるところなので、裏方に徹してきた自分は絶対にステージには上がらないと固辞したのです。

そこで、ステージの上のスクリーンの代わりに、こっそり関係者と審査員がサインしたお祝いのボードを作り、ステージの下でサプライズで特別賞を発表しました。

 

 

彼の受賞スピーチは中国語だったので内容はわかりませんでしたが、会場を笑いに包みこんだのち、1曲歌い上げました。
ユーモアにあふれた業界へのメッセージだったのだと思います。

最後に関係者がステージの下に集まってステージから客席に向かって記念写真を撮りました。

 

 

さて、台風18号は南部の高雄では大きな被害をもたらしましたが、結局台北には来ず熱帯低気圧になりました。
台湾で一番高い玉山は3952メートルで富士山より高いので、上陸してから台風の勢いが急速に弱まったようです。

二日間のタイフーンホリデイの間は、レストランがクローズして食いっぱぐれるのではないかと心配していましたが、仲間たちが毎食オープンしているレストランに車で連れて行ってくれたので、毎食美味しい料理をお腹いっぱい食べることができました。
台湾の中華料理は、大陸の中華料理より味付けが日本人向けなんです。

その一方、台風の中ひとりで外出することができなかったので、この1週間ほとんど屋外を歩くことはできませんでした。

つまり、いっぱい食べて、全く歩かない1週間。

結果、帰国後2キロの体重が増えていました。

(おわり)

 

鼎泰豊社長の楊紀華さんと
木村健太郎
1992年に博報堂入社後、ストラテジーからクリエイティブ、デジタル、PRまで職種領域を越境したスタイルを確立し、2006年嶋と共同CEOとして博報堂ケトルを設立。マス広告を基軸としたインテグレートキャンペーンから、デジタルやアウトドアを基軸としたイノベーティブなキャンペーンまで共同CEO兼ECDとして幅広いアウトプットを創出する。これまで10のグランプリを含む150を超える国内外の広告賞を受賞し、カンヌライオンズチタニウム部門審査員、アドフェスト審査員長、スパイクスアジア審査員長など30回以上の国際広告賞の審査員経験を持つ。海外での講演も多く、2013年から7回にわたりカンヌライオンズ公式スピーカー。ADWEEKの世界のクリエイティブ100に選ばれる。2017年からケトルに加え、博報堂の海外ビジネスのスタッフ部門を統括する役職を兼任。現在は博報堂のグローバルとクリエイティブの執行役員とインターナショナルチーフクリエイティブオフィサー。コロナ期を除き、年間100日間程度海外を飛び回る生活をしてきた。著書に『ブレイクスルーひらめきはロジックから生まれる』(宣伝会議)がある。
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